保存料「安息香酸ナトリウム」とは?ビタミンCと反応すると危険?

食品添加物
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清涼飲料水や栄養ドリンクなどに含まれている「安息香酸ナトリウム」。

細菌の増殖を抑える効果があることから、保存料として多くの食品に使用されているのが現状です。

しかし、安息香酸ナトリウムには危険性があるとの報告もあり、安易な摂取は控えた方が良いとも考えられます。

本記事では、安息香酸ナトリウムの概要と危険性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。

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安息香酸ナトリウムとは

安息香酸ナトリウムとは、安息香酸のナトリウム塩のことで、保存料の用途で使用される食品添加物(指定添加物)の1つです。

日本では1948年に食品添加物として認可され、食品の保存性を高める目的で使用されています。

食品添加物にはナトリウムと結合していない「安息香酸」も認可されていますが、安息香酸は水に溶けにくいことから、食品に対しては安息香酸ナトリウムが使用されることがほとんどです。

左:安息香酸
右:安息香酸ナトリウム

安息香酸ナトリウムが保存性として使用できるのは、安息香酸に微生物の繁殖を抑える効果があるためです。

安息香酸には微生物の細胞に入った後、細胞内のpHを低下させてグルコース代謝(解糖系)を抑制する働きがあります。解糖系を抑制するとATP(エネルギー)が産生されにくくなるので、微生物の増殖を抑えることができるのです。

【参考】
Studies on the mechanism of the antifungal action of benzoate.

ちなみに、安息香酸ナトリウムは基本的に化学合成で製造されますが、自然界ではクランベリーやビルベリー、すもも、梅などにも含まれています。

また、安息香酸ナトリウムは食品添加物として以外に、医薬品や化粧品などで防腐剤として使用されることも少なくありません。

安息香酸ナトリウムが含まれる食品

安息香酸ナトリウムは食品衛生法によって使用基準が定められており、使用できる食品や量(最大残存量)などが定められています。

安息香酸ナトリウムが使用できる食品とその最大残存量についてはそれぞれ以下の通りです。

  • キャビア(2.5g/kg)
  • マーガリン(1.0g/kg)
  • 清涼飲料水(0.60g/kg)
  • シロップ(0.60g/kg)
  • 醤油(0.60g/kg)
  • 菓子の製造に用いる果実ペーストと果汁(1.0g/kg)

※最大残存量はすべて安息香酸としての量

そのため、上記の食品には安息香酸ナトリウムが含まれている可能性があると言えます。安息香酸ナトリウムの有無は商品の原材料名で確認できるので、気になる場合には原材料名を忘れずに確認しておくと良いでしょう。

ちなみに、安息香酸ナトリウムが含まれている食品としては清涼飲料水や栄養ドリンクなどが有名なので、これらの商品を購入する際には要チェックです。

安息香酸ナトリウムの危険性

安息香酸ナトリウムは保存料として使用される一方、毒性が高いことも知られています。

実際、安息香酸ナトリウムを2%~5%含む餌をラットに4週間食べさせたところ、5%群のラットは過敏状態や尿失禁、痙攣などを起こしてすべて死亡したことが報告されています。

食品添加物として使用される量ではこのような心配はないかもしれませんが、胃や腸などの粘膜への影響を心配する声は少なくありません。

また、安息香酸ナトリウムは自身の毒性も知られていますが、ビタミンC(アスコルビン酸)などの酸と反応するとベンゼンが生成されることも分かっています

実際、2006年には清涼飲料水中の安息香酸(保存料)とアスコルビン酸(酸味料、酸化防止剤)が反応し、低濃度のベンゼンが検出されたとしてイギリスなどで製品の自主回収が要請されたという事態が起こりました。

これを受けて日本でも厚生労働省による検査が行われ、安息香酸とアスコルビン酸の両方を添加した清涼飲料水のうち、市場に流通するものに関して、31品中1品から10ppbを超えるベンゼンが検出されたとの報告がなされています。

ベンゼンは発がん性物質であり、白血病を引き起こす危険性もあることから、清涼飲料水からの検出が好ましくないことは言うまでもありません。

このようなリスクを避けるためにも、安息香酸ナトリウムはできるだけ避けた方が良い食品添加物と言えるでしょう。

まとめ

保存料として使用されている「安息香酸ナトリウム」。

清涼飲料水や栄養ドリンクをはじめ、醤油やマーガリンなど、多くの食品に含まれているのが現状です。

安息香酸ナトリウムはそれ自身に毒性があるほか、ビタミンCなどの酸と反応すると発がん性のあるベンゼンが生成する危険性があります

食べ合わせで安息香酸ナトリウムと酸を一緒に食べてしまうことは、普段の食事の中では十分に起こり得ることです。そのため、安息香酸ナトリウムが添加された食品の摂取は、できる限り避けた方が良いと言えるでしょう。

安息香酸ナトリウムは原材料名で「安息香酸ナトリウム」や「安息香酸Na」と表記されているので、飲み物や食品を購入する際にはしっかりと原材料名を確認しておくと安心です。

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