合成着色料「タール色素」とは?食品添加物としての危険性を解説

食品添加物
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食品に着色する目的で使用される「タール色素」。

食品の色を鮮やかに見せられることから、多くの食品に使用されているのが現状です。

しかし、タール色素には危険性が報告されているものもあり、安易な摂取は気をつけた方がよいと言えるでしょう。

本記事では、タール色素の概要と危険性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。

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タール色素とは

タール色素とは、合成着色料の1種であり、食品添加物の指定添加物として認可されている着色料の1つです。

タール色素はかつて石炭を乾留して得られるコールタールを原料に化学合成されていたことから、この名前が付けられました。なお、現在はコールタールを原料に使用することはほとんどなく、主に原油を蒸留・分離して得られるナフサと呼ばれる石油製品を原料として生成されています。

タール色素は色が鮮やかで染着力が強く、均質性や安定性が高いほか、安価であることなどから、着色目的で様々な食品に使用されています。

ただし、食品衛生法によって使用基準が設けられており、以下の食品に使用することはできません。

カステラ、きなこ、魚肉漬物、鯨肉漬物、こんぶ類、しょう油、食肉、食肉漬物、スポンジケーキ、鮮魚介類(鯨肉を含む)、茶、のり類、マーマレード、豆類、みそ、めん類(ワンタンを含む)、野菜、わかめ類

なお、タール色素は食品添加物として以外にも、医薬品、口紅などの化粧品、衣服などの工業製品などの着色料としても認可されています。

食品添加物としてのタール色素の種類

タール色素には様々なものがありますが、食品添加物の指定添加物として認可されているものは以下の12種類です。

  • 食用赤色2号・3号・40号・102号・104号・105号・106号
  • 食用黄色4号・5号
  • 食用青色1号・2号
  • 食用緑色3号

かつては赤色40号を除く上記に加え、以下の13種類を含む計24種類のタール色素が食品添加物として認可されていました。

赤色1号・4号・5号・101号・103号、橙色1号・2号、黄色1号・2号・3号、緑色1号・2号、紫色1号

しかし、発がん性などの危険性が報告され、アメリカなどで使用が制限され始めたことから、日本でも1965年に「赤色1号・101号」、1966年に「赤色4号・5号、橙色1号・2号、黄色1号・2号・3号」、1967年に「緑色1号」、1970年に「緑色2号」、1971年に「赤色103号」、1972年に「紫色1号」を使用禁止にしています。

なお、赤色40号はアメリカで開発された色素であり、1991年までは日本で認可されていませんでしたが、アメリカとカナダの圧力により現在は認可されています。

危険性が報告されているタール色素

着色料として使用されているタール色素ですが、危険性を示す報告もいくつかあります。

例えば、2008年にはイギリスの食品基準庁(FSA)が「赤色40号、赤色102号、黄色4号、黄色5号」を含む6種類のタール色素に関して、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の原因になる恐れがあるとして食品メーカーに自主規制を促しています。

また、赤色2号に関しては、1976年にアメリカで行われたラットを使った実験で発がん性の疑いがあることが分かり、アメリカでは使用が禁止されています。

赤色3号についても動物実験で甲状腺腫瘍などの症状が確認されたことから、ドイツなどでは食品への使用が禁止されているのが現状です。

ちなみに、「赤色102号、赤色40号、黄色4号、黄色5号」に関しては、赤色2号と同じアゾ色素に分類され、分子内にアゾ結合を有するという特徴があるため、赤色2号と同様に発がん性が疑われています。

このように、現在食品添加物として認可されているタール色素の中には危険性を示す報告があるものもあり、安易な摂取は控えた方が良いと言えるでしょう。

外国におけるタール色素の認可状況

現在、日本で食品添加物として認可されているタール色素は12種類ありますが、この中には外国で食品添加物として認可されていないものも少なくありません。

食品添加物としてのタール色素の認可状況について、現時点(2024年2月現在)で日本と外国の違いをまとめると以下のようになります。

タール色素日本米国EU中国韓国豪州
赤色2号×
赤色3号
赤色40号
赤色102号×
赤色104号×××××
赤色105号×××××
赤色106号×××××
黄色4号
黄色5号
青色1号
青色2号
緑色3号××
〇:認可(規制を含む)、×:禁止
※EUの中には国として禁止しているところもあります。

【参考】
JFIA 海外食品添加物規制早見表「着色料早見表」

このように、日本では認可されているタール色素も、外国では危険性などの理由から食品添加物として認可されていないものも多くあるのが現状です。

このことからも、タール色素で着色された食品の摂取はできるだけ避けた方が良いと言えるでしょう。

まとめ

着色料として使用されている「タール色素」。

主に色が鮮やかな食品に対して使用されており、菓子類や発酵食品、漬物、農産加工品など、幅広い加工食品に使用されているのが現状です。

しかし、タール色素は危険性を示す報告もあり、外国では認可されていないものもあることから、タール色素が使われた食品の摂取には注意が必要と言えるでしょう。

タール色素は原材料名で「赤色2号」や「赤3」などと表記されていることが多いので、心配な場合には原材料名を確認し、タール色素の有無をチェックしておくと安心です。

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