調味料として必須ともいえる「醤油」。
料理に使用する機会が多いため、多くの家庭で1つは常備しているものと思われます。
しかし、最近では醤油の商品数も非常に多く、中には心配な添加物が含まれているものも少なくありません。
そこで本記事では、醤油に含まれる避けたい添加物やおすすめの無添加醬油について紹介します。
無添加醤油をお探しの方には役に立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
※本記事はプロモーションを含みます。
醤油の原料と製造方法
最近では添加物を使用して作られた醤油が多くありますが、そもそも伝統的な醤油の原料は「大豆、小麦、食塩」の3つです。
この3つの原料のみを使用した醤油の製法を「本醸造方式」といい、具体的な工程は以下のようになっています。
- 蒸した大豆と炒った小麦を混ぜる
- 1で混ぜたものに麹菌を加えて「麹」を作る
- 作った麹に食塩水を混ぜて「もろみ」を作る
- もろみを半年以上かけて発酵・熟成させる
- 発酵・熟成させたもろみを圧搾して液体「生揚げ醤油」を取り出す
- 火入れを行い、清澄・充填・検査などを経て出荷される(製品化)
このようにして作られる醤油が伝統的な醤油であり、本来の醤油と言えるのです。
本醸造方式の醤油は原料に「大豆、小麦、食塩」しか使用していませんが、麹菌の酵素が大豆のタンパク質をアミノ酸へ、小麦のデンプンをブドウ糖へ分解するため、旨みや甘味、コクが生み出されています。
なお、食塩は塩味のもとになるほか、乳酸菌や酵母などの過剰な働きを抑える役割を果たしています。
乳酸菌はブドウ糖を乳酸、酢酸などに変換して塩辛さをやわらげ、酵母はブドウ糖をアルコールに変換して香りを引き立てます。
「本醸造方式」以外の醤油
現在、国産醤油の約8割は本醸造方式で作られた醤油と言われていますが、残りの2割は「混合醸造方式」か「混合方式」で作られた醤油と言われています。
混合醸造方式と混合方式はどちらも原料にアミノ酸液を使用したもので、化学的に旨みを添加しているのが特徴です。
混合醸造方式と混合方式の醤油に使用されるアミノ酸液は大豆などのタンパク質を塩酸で処理したもので、実質的には食品添加物として知られる「たんぱく加水分解物」と同じです。
どちらも本醸造方式に比べて発酵・熟成期間が短く、値段が安い傾向にありますが、添加物が使われやすくなっているので、その点については注意が必要です。
ちなみに、製品によってはアミノ酸液の代わりとして、大豆を酵素で分解した酵素分解調味液や、小麦グルテンを発酵・分解した発酵分解調味液が使われることもあります。
醤油への使用が認められている原材料と添加物
醤油は日本農業規格(JAS)によって規格が定められており、以下の5つに分類されます。
- こいくちしょうゆ(濃口醤油)
- うすくちしょうゆ(淡口醤油)
- たまりしょうゆ(溜醤油)
- さいしこみしょうゆ(再仕込醤油)
- しろしょうゆ(白醤油)
これらの醤油はそれぞれ使用できる原材料や添加物が限られており、それ以外のものを使用した場合には「醤油」ではなく「しょうゆ加工品」や「しょうゆ調味料」に分類されます。
しょうゆ加工品としては、だし醤油やたまごかけご飯専用醤油などが有名です。
JAS規格で使用が認められている原材料と添加物について、それぞれ以下で解説します。
使用が認められている原材料
こいくちしょうゆ、うすくちしょうゆ、たまりしょうゆ、さいしこみしょうゆについては、以下の原材料の使用が認められています。
引用:農林水産省「しょうゆの日本農林規格」(2~3ページ)
- 大豆
- 小麦、大麦及び裸麦
- 米
- はと麦
- 小麦グルテン
- 食塩
- アミノ酸液、酵素分解調味液及び発酵分解調味液
- 砂糖類
- アルコール、焼酎及び清酒
- 米発酵調味料、醸造酢、みりん及びみりん風調味料
一方、しろしょうゆで使用が認められている原材料については以下の通りです。
引用:農林水産省「しょうゆの日本農林規格」(5ページ)
- 大豆
- 小麦、大麦及び裸麦
- 小麦グルテン
- 食塩
- アミノ酸液、酵素分解調味液及び発酵分解調味液
- 砂糖類
- アルコール、焼酎及び清酒
- 米発酵調味料、醸造酢、みりん及びみりん風調味料
原材料において、「米」と「はと麦」の使用はしろしょうゆでは認められていないのが特徴となっています。
ちなみに、混合醸造方式や混合方式の醤油で使用される「アミノ酸液」は添加物ではなく原材料に表示されているので、その点については注意が必要です。
原材料は原材料名で「/」より手前に記載されたもの、添加物は原材料名で「/」より後に記載されたもの
使用が認められている添加物
JAS規格では、醤油に使用できる添加物について以下のように定められています。
引用:農林水産省「しょうゆの日本農林規格」
- 国際連合食糧農業機関及び世界保健機関合同の食品規格委員会が定めた食品添加物に関する一般規格(CODEX STAN 192-1995,Rev.7-2006)3.2の規定に適合するものであって、かつ、その使用条件は同規格3.3の規定に適合していること。
- 使用量が正確に記録され、かつ、その記録が保管されているものであること。
- 1の規定に適合している旨の情報が、一般消費者に次のいずれかの方法により伝達されるものであること。ただし、業務用の製品に使用する場合にあっては、この限りでない。
(1) インターネットを利用し公衆の閲覧に供する方法
(2) 冊子、リーフレットその他の一般消費者の目につきやすいものに表示する方法
(3) 店舗内の一般消費者の目につきやすい場所に表示する方法
(4) 製品に問合せ窓口を明記の上、一般消費者からの求めに応じて当該一般消費者に伝達する方法
難しい内容となっていますが、具体的には以下の添加物の使用が認められています。
分類 | 添加物 | 規定 |
---|---|---|
甘味料 | ・アセスルファムカリウム ・カンゾウ抽出物 ・サッカリンナトリウム ・ステビア抽出物 ・D-ソルビトール | なし |
着色料 | ・カラメルI ・カラメルⅢ ・カラメルⅣ | こいくち・さいしこみは左から1種類以下 たまりは左から2種類以下 うすくち・しろは使用不可 |
保存料 | ・安息香酸ナトリウム ・パラオキシ安息香酸イソブチル ・パラオキシ安息香酸イソプロピル ・パラオキシ安息香酸ブチル | 左から3種類以下 |
増粘安定剤 | ・キサンタンガム ・グァーガム ・デキストラン | 左から2種類以下 |
酸味料 | ・クエン酸 ・クエン酸三ナトリウム ・コハク酸二ナトリウム ・酢酸ナトリウム ・L-酒石酸ナトリウム ・乳酸 ・乳酸ナトリウム ・氷酢酸 ・DL-リンゴ酸ナトリウム | 左から3種類以下 |
調味料 | アミノ酸 ・DL-アラニン ・グリシン ・L-グルタミン酸ナトリウム | なし |
核酸 ・5′-イノシン酸二ナトリウム ・5′-グアニル酸二ナトリウム ・5′-リボヌクレオチド二ナトリウム | 左から2種類以下 | |
有機酸 ・クエン酸三ナトリウム ・コハク酸 ・コハク酸二ナトリウム ・酢酸ナトリウム ・L-酒石酸ナトリウム ・乳酸ナトリウム ・フマル酸一ナトリウム ・DL-リンゴ酸ナトリウム | 左から2種類以下 | |
無機塩 ・塩化カリウム | なし | |
製造用剤 | D-ソルビトール | なし |
日持向上剤 | ・アルコール ・チアミンラウリル硫酸塩(ビタミンB1) | なし |
pH調整剤 | 乳酸 | なし |
このように、醤油には数多くの添加物の使用が認められているため、添加物が気になる場合には原材料名をしっかりと確認した方が良いでしょう。
避けたい添加物と注意点
醤油への使用が認められている添加物を紹介しましたが、ここではそれらの中でも危険性が疑われており、なお且つ使われる頻度が多いものを紹介します。
醤油の添加物が気になる方はぜひ参考にしてください。
避けたい添加物
醤油へよく使用される添加物の中で特に避けたいものは以下の4つです。
カラメル色素
カラメル色素は着色料として使用される添加物です。
大豆の代わりに脱脂加工大豆を使用した場合などには、醤油の色が薄くなることがあり、色を補正する目的で使用されることがあります。
しかし、カラメル色素のうち、「カラメルⅢ」と「カラメルⅣ」は製造工程で副産物として発がん性物質が生じることが分かっており、できるだけ避けた方が良い添加物と言えるでしょう。
人工甘味料(アセスルファムカリウム)
人工甘味料は人工的に飲食物に甘味を加えるために使われる添加物です。
醤油への使用が認められている人工甘味料としては「アセスルファムカリウム」があげられますが、アセスルファムカリウムには発がん性や糖尿病リスクを上げるなどのリスクが報告されています。
アミノ酸液とともに使われることもあるので、混合醸造方式や混合方式の醤油を購入する際には注意しましょう。
保存料
保存料は食品の保存性を高める目的で使用される添加物です。
保存料については危険性の報告があるものが多いですが、例えば安息香酸ナトリウムについてはビタミンCなどの酸との反応で発がん性が疑われています。
保存料は脱脂加工大豆を使用した醤油に使われることがあるので、原材料名でよく確認しておきましょう。
調味料(アミノ酸等)
調味料(アミノ酸等)は飲食物に旨みを加えるために使用される添加物です。
こちらも脱脂加工大豆を使用した場合などに使われることが多く、旨みを補う目的で使用されています。
しかし、調味料(アミノ酸等)は旨みが強すぎるあまり、慣れてしまうと味覚が鈍くなる可能性があります。
醤油は使用頻度の多い調味料なので、できれば避けておきたい添加物です。
醤油を選ぶ際の注意点
醤油を選ぶ際には添加物以外にも以下の3点について注意する必要があります。
「本醸造方式」以外の醤油
「本醸造方式」以外の醤油、つまり「混合醸造方式」や「混合方式」の醤油で使用されるアミノ酸液は旨みが強いので、慣れてしまうと味覚が鈍くなる可能性があります。
また、アミノ酸液はたんぱく加水分解物と同様、製造過程で発がん性物質が生じる可能性があり、注意が必要と言えるでしょう。
醤油はできるだけ「本醸造方式」のものを選ぶのが安心です。
脱脂加工大豆
脱脂加工大豆とは、丸大豆から油分を取り除いたものです。
油分をほとんど含まないために醤油製造の発酵・熟成期間を短縮でき、丸大豆に比べて低コストで済みやすいことから、最近では多くの醤油製品に使用されています。
しかし、脱脂加工大豆は油分を抽出する工程でヘキサンという化学物質を使用しているほか、丸大豆に比べて栄養価が低い傾向にあります。
また、先ほど説明したように、脱脂加工大豆を使用した醤油には複数の添加物が使われることも少なくありません。
そのため、できれば丸大豆を使用した醤油を選ぶのがおすすめです。
大豆の産地
醤油に使用されている大豆の産地にも注意が必要です。
国産の大豆であれば問題ありませんが、外国産(アメリカ産、カナダ産など)の大豆は遺伝子組み換えのものを使用している可能性があります。
外国産の大豆を使用している場合には、原材料名の大豆に「(分別生産流通管理済み)、(遺伝子組み換えでない)」などの表示があるものを選んでおくと安心です。
分別生産流通管理済みは「遺伝子組換え大豆の意図せざる混入が5%以下のもの」を指し、遺伝子組み換えでないは「遺伝子組み換え大豆の混入がないもの」を指します。
おすすめ無添加醤油5選
ここまで醤油に含まれる添加物や、醤油を選ぶ際の注意点などについて解説しましたが、ここではおすすめの無添加醤油を5つ紹介します。
①【イチビキ】無添加国産しょうゆ
【原材料】大豆(国産)、小麦(国産)、食塩(国内製造)
こちらの醤油は愛知県名古屋市に本社を置くみそ・醤油メーカーの「イチビキ」から販売されている醤油です。
無添加であることに加え、原材料に全て国産のものを使用しているのが特徴で、食塩については高知県室戸の海洋深層水を加熱して蒸発させた天日塩を使用しています。
まろやかな味わいで、穏やかな香りのこいくちしょうゆとなっています。
なお、こちらの醤油はスーパーなどでもよく販売されているので、一度探してみても良いかもしれません。
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②【ヤマサ醤油】有機丸大豆の吟選しょうゆ
【原材料】有機栽培大豆(カナダ産又はアメリカ産)、小麦、食塩
こちらは醤油メーカーの「ヤマサ醤油」から販売されている醤油です。
原料に有機栽培の丸大豆を使用しているのが特徴で、食塩は海水を自然乾燥させた天日塩を使用しています。
大豆はカナダ産又はアメリカ産となっていますが、遺伝子組み換えのものではありません。
ヤマサ醤油の伝統の技でじっくりとつくり上げられたロングセラー(1992年発売)の醤油であり、まろやかな風味とやさしい味わいの醤油となっています。
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③【海の精】国産有機 旨しぼり醤油
【原材料】有機大豆(非遺伝子組み換え)、有機小麦、塩(海の精)
こちらの醤油は天日塩メーカーとして知られる「海の精」が販売している醤油です。
原材料は全て国産のものを使用しており、大豆と小麦はいずれも有機栽培のもの、食塩には海の精が使われています。
有機JAS認証を取得している醤油で、Amazonでは非常に人気の醤油です。
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④【フンドーキン醤油】特選国産丸大豆醤油
【原材料】大豆(国産、分別生産流通管理済み)、小麦(国産)、食塩
こちらの醤油は大分県の醤油メーカー「フンドーキン醤油」が販売している醤油です。
原料に国産大豆、国産小麦、天日塩を使用しており、芳醇な香りと味わい、深いうまみが特徴の醤油となっています。
なお、大豆が国産でありながら「分別生産流通管理済み」の表記がありますが、これは同じ工場で分別生産流通管理済みの輸入大豆を使用しているためです。本品には国産の大豆が使用されているので、その点については心配ありません。
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⑤【大徳醤油】丸大豆醤油
【原材料】大豆(国産)、小麦(国産)、食塩(長崎県産)
こちらの醤油は1910年創立の老舗の醤油屋「大徳醤油」が販売している醤油です。
原材料にすべて国産の原料を使用しており、天然醸造で長期間熟成させた伝統の醤油となっています。
丸大豆は主に兵庫県産のもの、小麦は兵庫県但馬産のもの、食塩は長崎県崎戸島の平釜塩「にっぽんの海塩」を使用しています。
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まとめ
調味料として多くの用途で使用される「醤油」。
最近では様々な醤油製品がありますが、中には複数の添加物が使用されているものもあります。
醤油に使用される添加物の中には危険性が疑われているものもあるので、醤油を選ぶ際には添加物を確認するほか、製造方法や大豆の産地、種類なども確認しておくと安心です。
本記事で紹介した無添加醤油も醤油選びの参考にしていただければと思います。
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