着色料として使用されている「コチニール色素」。
かまぼこやカニカマ、菓子類など、赤色の着色が入った食品には使用されているケースも珍しくありません。
しかし、コチニール色素にはアレルギー反応などの危険性があることが報告されています。
本記事では、コチニール色素の概要と危険性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。
コチニール色素とは
コチニール色素とは、食品添加物の既存添加物として認可されている赤色の天然着色料です。
カイガラムシ科エンジムシ(コチニールカイガラムシ)という虫を原料に使用しており、エンジムシの乾燥体を温めた水、またはエタノールで抽出して作られています。主成分はカルミン酸という化合物であることから、「カルミン酸色素」と呼ばれることも少なくありません。
使用される食品としては、主にかまぼこやカニカマなどの水産加工品、菓子類や清涼飲料水、かき氷のシロップなどがあげられ、食品を赤色に着色する目的で使用されています。
なお、コチニール色素には着色料として使用基準が設けられており、以下の食品への使用は認められていません。
こんぶ類、食肉、鮮魚介類(鯨肉を含む)、茶、のり類、豆類、野菜、わかめ類
コチニール色素は天然由来の原材料とうたわれることがありますが、植物ではなく虫を原料にしているため、その点については注意が必要です。ちなみに、コチニール色素の原料となるエンジムシは中南米原産の昆虫で、サボテンに生息しているとされています。
また、コチニール色素の主成分であるカルミン酸にアルミニウムなどを加えて不溶化(レーキ化)したものは「カルミン」と呼ばれ、日本では食品添加物としては認可されていませんが、医薬部外品や化粧品などの着色料として認可されています。
コチニール色素の危険性
コチニール色素には急性アレルギー反応(アナフィラキシーショック)の報告があります。
コチニール色素はエンジムシに由来する着色料であることから、抽出時にはエンジムシのタンパク質も一緒に抽出されます。このタンパク質は精製しても微量は混入した形になるので、このタンパク質に対する反応でアレルギー症状が出てくる場合があるのです。
食品添加物公定書によると、コチニール色素は成分規格としてタンパク質の含有が2.2%以下と定められており、2.2%以下のタンパク質の混入が認められています。
実際、2012年5月11日には、消費者庁から「コチニール色素に関する注意喚起」と題し、コチニール色素を含む飲料の摂取で急性アレルギー反応を起こした症例の提供があったことが報告されています。
【参考】
熊本県 【緊急!】消費生活トラブル注意報 第14号(コチニール色素について)
ちなみに、これまでの報告によると、コチニール色素によるアレルギー発症者の多くは20〜50歳代の女性であり、コチニール色素やカルミンを含んだ化粧品の使用で皮膚感作が成立し、コチニール色素を含む食品の摂取でアレルギーが発症するという説が有力視されています。
エンジムシ由来のタンパク質を低減化した「低アレルゲンコチニール色素」もありますが、低アレルゲンコチニール色素に関してもアレルギー反応の報告があるので、注意が必要です。
まとめ
食品を赤く着色するのに使用される「コチニール色素」。
天然の着色料であることから、ついつい安全な原材料と思われがちです。
しかし、コチニール色素に関してはエンジムシという虫から抽出された着色料であることは知っておいた方が良いかもしれません。
また、女性を中心にアレルギー反応の報告もあることから、注意が必要と言えるでしょう。
コチニール色素は原材料名で「コチニール色素」以外に、「カルミン酸色素」、「着色料(コチニール)」、「着色料(カルミン酸)」と表記されることもあるので、原材料名を見る際には注意が必要です。
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