食品添加物「増粘安定剤」とは?増粘多糖類との違いや危険性を解説

食品添加物
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ゼリーやドレッシング、レトルト食品などに使用されている「増粘安定剤」。

原材料名で具体的な物質名が表記されていないことも多く、不安を感じる人も少なくありません。

また、似たような名前で「増粘多糖類」というものもありますが、増粘安定剤との違いが分からないという方も少なからずいるかと思われます。

そこで本記事では、増粘安定剤の概要と増粘多糖類との違い、増粘安定剤の危険性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。

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増粘安定剤とは

増粘安定剤とは、食品に粘性や接着性、弾力性を持たせるための食品添加物です。

別名「糊料」とも呼ばれており、食品の食感やのどごしをよくする働きがあります。

増粘安定剤は使用用途によって以下の3つの呼び方で区別されています。

  • 増粘剤:食品に粘りやとろみをつける
  • 安定剤:食品を接着して形が崩れないようにする
  • ゲル化剤:食品をゼリー状に固める(ゲル化する)

例えば、ソースにとろみを持たせる目的で使用する場合には「増粘剤」、飲料で果肉の懸濁状態を安定させるために使用する場合には「安定剤」、液体をゼリー状に固める目的で使用する場合には「ゲル化剤」といった感じです。

ちなみに、原材料名では「増粘安定剤」とはあまり表記されず、上記の3つの用途名、あるいは塗料と表記されることが多いです。

増粘多糖類との違い

増粘多糖類は、2種類以上の増粘安定剤を使用した場合に用いられる一括表示名です。

増粘安定剤を1種類のみ使用した場合には、原材料名では用途名の後ろに物質名が表記されます。具体的には「増粘剤(〇〇)」、「安定剤(〇〇)」、「ゲル化剤(〇〇)」といった形です。

しかし、増粘安定剤を2種類以上使用した場合には、原材料名で物質名を省略でき、「増粘多糖類」との一括表記が認められています。

そのため、原材料名に「増粘多糖類」の表記があれば、増粘安定剤として何を使用しているのか消費者側からは分かりません。

もちろんすべての物質名を表記することもできますが、メーカー側の都合から、基本的には増粘多糖類と一括表示されているケースがほとんどとなっています。

なお、2種類以上の増粘安定剤を増粘剤として使用した場合には、単に「増粘多糖類」との表記が可能ですが、安定剤やゲル化剤(糊料)として使用した場合には、「安定剤(増粘多糖類)」、「塗料(増粘多糖類)」といった表記が必要です。

増粘安定剤の種類

増粘安定剤には天然由来の多糖類が多く、以下のように様々なものが食品添加物として認可されています。

ゼラチン、寒天、ペクチン、グァーガム、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンド、アルギン酸、プルラン、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ジェランガム、グルコマンナン、トラガントガム、ファーセレランなど

これらの増粘安定剤は物質ごとにそれぞれ特徴が異なるため、使用される食品も物質によって様々です。

主な増粘安定剤について、よく使用される食品の例を以下に記します。

  • ペクチン:ジャム、ゼリー、アイスクリームなど
  • グァーガム:ドレッシング、ソース、アイスクリーム、即席めん類など
  • キサンタンガム:ドレッシング、たれ類、漬物、つくだ煮、冷凍食品、レトルト食品など
  • カラギーナン:ゼリー、ジャム、プリン、アイスクリーム、ドレッシングなど
  • CMC:アイスクリーム、シャーベット、ソース、めん類など

【参考】
東京都保健医療局 「用途別 主な食品添加物(4 増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料)」

このように、増粘安定剤は菓子類や調味料などを中心に、非常に多くの食品に使用されているのが現状です。

増粘安定剤の危険性

様々な食品に使用されている増粘安定剤ですが、実は危険性が報告されているものもあります。

増粘安定剤は種類が多いと「増粘多糖類」として一括表示されることから、どの物質を使用しているのか分からないため、消費者側としては不安なところです。

カラギーナン

カラギーナンは海藻の「紅藻類」から抽出される多糖類ですが、発がん性などの報告があります

ラットを用いた動物実験では、腸内で分解されたカラギーナンが腸のがん化・潰瘍の誘導に関与していたことが確認されているのです。

【参考】
Review of harmful gastrointestinal effects of carrageenan in animal experiments.

実際、国際ガン研究機関(IARC)は、カラギーナンの分解物について「グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)」に分類しています。

カラギーナンはヒトの腸では分解されないとされていますが、2012年のカナダのビクトリア大学の報告によると、ヒトの腸内細菌にカラギーナンを分解する株(Bacteroides thetaiotaomicron VPI-3731)があることが確認されており、ヒトに対する危険性が危惧されます。

キサンタンガム

キサンタンガムについては、大量摂取による下痢や軟便(難消化性によるもの)以外に特に毒性などが報告されているわけではありません。

しかし、キサンタンガムはとうもろこしなどのデンプンを微生物(Xanthomonas campestris)に発酵させて作られることから、原料に遺伝子組み換えのとうもろこしを使用している可能性も否定できません

遺伝子組み換え食品に関しては、動物実験における安全性のデータから、健康被害をもたらす可能性があるとの報告がなされています。

トラガントガム

トラガントガムはマメ科植物のトラガントの分泌液から抽出される多糖類ですが、発がん性の報告があります。

トラガントガムを1.25%、及び5%含む餌をマウスに96週間食べさせたところ、前胃に乳頭腫、がんの発生が確認されたのです。

また、トラガントガムは重い症状を引き起こすアレルゲンになり得るとの報告もあります。

ファーセレラン

ファーセレランはススカケベニ科植物のフルセリアの全藻から抽出される多糖類ですが、催奇性などの疑いがあります。

ファーセレランを鶏卵1個あたりに5mg投与したところ、ヒナの目や上顎に異常が認められたとの報告があります。

まとめ

食品に粘りやとろみ、弾力性を持たせるのに使用される「増粘安定剤」。

様々なものが食品添加物として認可されており、「増粘剤」や「安定剤」、「ゲル化剤」として多くの食品に使用されているのが現状です。

しかし、増粘安定剤の中にはいくつか危険性が報告されているのもあり、安易な摂取には注意が必要と言えます。

特に「増粘多糖類」として一括表示されている場合には、どの増粘安定剤が使われているか分からないので、心配な場合にはできるだけ避けた方が良いかもしれません。

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