発色剤「亜硝酸ナトリウム」とは?役割や危険性を解説

食品添加物
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ソーセージやハムなどに使われることの多い「亜硝酸ナトリウム」。

原材料名では発色剤(亜硝酸ナトリウム)と記載されていることが多く、食品を発色させる目的だけで使用されていると思われがちです。

しかし、亜硝酸ナトリウムには食品を発色させる以外にも役割があり、その反面危険性があるとも言われています。

本記事では、亜硝酸ナトリウムの役割と危険性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。

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亜硝酸ナトリウムの概要と役割

亜硝酸ナトリウムとは、亜硝酸イオンとナトリウムイオンが結合した化学物質です。

食品添加物として食品に使用されるほか、毒物及び劇物取締法において劇物に指定されている物質にもなっています。

別名「亜硝酸ソーダ」などとも呼ばれており、食品の原材料名では「亜硝酸Na」と表記されていることも少なくありません。

亜硝酸ナトリウムは食品添加物として主にソーセージやハム、ベーコン、いくら、すじこ、たらこなどの加工食品に使用されています。

食品添加物としての亜硝酸ナトリウムの役割は以下の通りです。

食品の色を鮮やかに保つ

亜硝酸ナトリウムの役割の中で最も有名なのが、食品の色を鮮やかに保つことです。

亜硝酸ナトリウムには、食肉に含まれる筋肉色素のミオグロビンや血液色素のヘモグロビンと結合し、これらの色素を固定させる働きがあります。そのため、主に発色剤として使用されており、食品を本来の色に保つために使用されています。

ソーセージやハムなどの食品の多くは時間が経ってもほとんど色がくすみませんが、これは亜硝酸ナトリウムの働きによるものなのです。

ちなみに、よく似たものに着色料がありますが、着色料は食品に色を付けるためのもので、発色剤のように色素を固定して色を保つものではないので、その点については注意が必要です。

ボツリヌス菌の繁殖を抑制する

これは意外と知られていないことですが、亜硝酸ナトリウムにはボツリヌス菌の繁殖を抑制する働きもあります。

ボツリヌス菌は食品内でボツリヌス毒素を作り出す細菌で、食中毒を引き起こす原因となる細菌です。

そのため、亜硝酸ナトリウムは防腐剤としても働き、ボツリヌス菌の繫殖を抑えることにより食品の安全性を高め、食品の消費期限を長くすることにも寄与しています。

臭みを抑えて風味を出す

亜硝酸ナトリウムには食肉の臭いを抑え、風味を出すという働きも。

この風味は熟成過程における亜硝酸ナトリウムと食肉のタンパク質との反応によって生み出されています。

ただ、これについては自然本来の味ではないとの見方もできるかもしれません。

亜硝酸ナトリウムの危険性

食品添加物としての亜硝酸ナトリウムには上記のような役割がある一方、危険性があるとも言われています。

これは消化の過程で発がん性物質を生成する恐れがあるためです。

肉や魚などの食品にはタンパク質が豊富に含まれていますが、タンパク質が消化される過程ではアミンと呼ばれる物質が生成します。亜硝酸はこのアミン(厳密には第二級アミン)と酸性環境下で反応することが知られており、この反応の結果「N-ニトロソアミン」と呼ばれる発がん性物質が生成することが分かっています。そのため、亜硝酸ナトリウムが含まれた食肉を食べると胃の中で上記の反応が起こり、発がん性物質のN-ニトロソアミンが生成されてしまう恐れがあるのです。

ちなみに、N-ニトロソアミンについてはそれ自身が発がん性を持っているわけではなく、肝臓で代謝される過程で活性型(活性アルキル基)に変換され、これがDNAの塩基(特にグアニン)に結合してDNAの変異を起こし、がんを発生させると言われています。そのため、N-ニトロソアミンについては胃を含む消化管のみならず、代謝の盛んな肝臓や腎臓などでの発がん性も指摘されているようです。

なお、2010年の国際がん研究機関(IARC)の評価では、食物中の亜硝酸は胃がんの発生率の増加と関連しているとし、亜硝酸塩はアクリルアミドなどと同じ「グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)」に分類されています。

野菜にも同じ危険性がある?

緑黄色野菜などには硝酸塩が多く含まれており、硝酸塩は口内の微生物によって亜硝酸に変化するため、緑黄色野菜などには食品添加物としての亜硝酸ナトリウムと同様の危険性があるとの指摘も少なくありません。

しかし、緑黄色野菜を含む野菜にはビタミンCやビタミンEなどが含まれていることが多く、これらの成分にはニトロソアミンの生成を抑える作用があることが分かっています。

そのため、食品添加物として亜硝酸ナトリウムを摂取することと、野菜などから硝酸塩を摂取することは、ニトロソアミンが生成するリスクに関して違いがあると言えるでしょう。

ちなみに、同様のリスクが考えられるものとしてミネラルウォーターに含まれる硝酸態窒素がありますが、硝酸態窒素を含まないミネラルウォーターについては以下で紹介していますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。

亜硝酸ナトリウムの前身は岩塩?

亜硝酸ナトリウムが食品添加物として使用される以前は、実は岩塩が同じ働きを持つものとして利用されていたことをご存知でしょうか?

以前はソーセージやハムを作る際、岩塩の使用によって色や風味が良くなったり、食中毒が起こらなかったりすることが知られていました。そのため、近年になってその詳細を調べてみると、岩塩には不純物として硝酸塩が含まれていることが分かり、この硝酸塩が食肉中で亜硝酸塩になって上記の現象に関与していたことが判明したのです。今日、亜硝酸ナトリウムが食品添加物として使用されるようになったのには、そのような経緯があります。

そうであれば亜硝酸ナトリウムの代用に岩塩を使えば良いのではと思われる方もいるかもしれませんが、実際に一部の無塩せきのソーセージやハムなどには岩塩が使われているものもあるのです。

しかし、岩塩は天然のものであり、含まれる硝酸塩の量にばらつきが見られることから、発色剤や防腐剤として使用する分には使い勝手が悪く、代わりに亜硝酸ナトリウムが多く使用されているという状況になっています。

このような話を聞くと岩塩に対して硝酸塩のリスクを考える方も当然いるかと思いますが、ヒマラヤ岩塩については以下の書籍に紹介されているものでもあることから、一概には分からないというのが個人的な見解です。

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まとめ

ソーセージやハムなどに使用されている「亜硝酸ナトリウム」。

食品の色を鮮やかに保つほか、ボツリヌス菌の繁殖を抑制したり、臭みを抑えて風味を出したりするなどの目的で、発色剤や防腐剤として食肉を中心とした加工食品に使用されています。

しかし、亜硝酸ナトリウムにはN-ニトロソアミンの生成に伴う発がん性があることが報告されており、IARCでも「グループ2A」に分類される物質となっていることから、この点は懸念すべきことだと言えるでしょう。

日本における亜硝酸ナトリウムのADI(1日摂取許容量)は「0.06㎎以下×体重(kg)/日」ですが、これはハムやソーセージなどの加工食品への使用量が「1kgあたり最大70㎎」であることを考えると、子供の場合には容易に超えてしまう可能性も否定できません。

ADIは毎日摂取した場合での値ですが、日々の積み重ねで体内に少しずつ蓄積されていく可能性を考えると、極力控えた方が良いのではないかと思われます。

ソーセージやハムなどの加工食品の中には、亜硝酸ナトリウムを使用していない無塩せきのものもあるので、そのようなものを選んでおくと良いかもしれません。

※無塩せきのものであっても発色剤以外の添加物は使用されている可能性があるので、その点については原材料名をよく確認するようにしましょう。

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