重曹には様々な用途があるため、どこかの場面で一度は使ったことのある方も多くいるのではないでしょうか?
この重曹ですが、実は製造方法によって”天然重曹”と”合成重曹”に分けられます。
この違いを知っておくと用途に応じて重曹を使い分けやすくなるので、コスパよく重曹を使用しやすくなります。
本記事では、天然重曹と合成重曹の違いを解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。
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重曹とは?
天然重曹と合成重曹の違いを説明する前に、そもそも重曹とは何かということですが、重曹とは炭酸水素ナトリウムという物質のことです。
別の呼び方では「重炭酸ナトリウム」や「重炭酸曹達(ソーダ)」などと呼ばれることもあり、重炭酸曹達の”重”と”曹”をとって重曹と呼ばれています。
外観は白いさらさらとした粉で、舐めると薄い塩味をするのが特徴です。
なお、化学式では「NaHCO3」と表され、水に溶かすと一部が電離して弱アルカリ性を示します。
重曹は水に溶けることは溶けますが、溶ける量は20℃の水100gに対して9.6g程度とそこまで溶けやすい物質とは言えません。そのため、水に溶かす際にはしっかりと混ぜて溶かす必要があります。
重曹には様々な性質があるため、その用途は多岐にわたりますが、一般的には料理や掃除、洗濯、消臭、美容などの用途で使用されることが多いです。
ちなみに、重曹は純度によって以下の3つに分類でき、種類によって特徴や値段などが異なるため、用途に応じて使い分けることが大切です。
- 掃除用:純度95〜98%で、キメが粗く添加物が含まれていることもある
- 食用:純度98〜99%で、食品衛生法に基づく品質管理がしっかりとなされている
- 薬用:純度100%で、入浴剤や歯磨き粉としても使用できる
天然重曹と合成重曹の違いは?
天然重曹と合成重曹の違いは製造方法にあります。
天然重曹はその名の通り天然の鉱物に由来する重曹ですが、合成重曹は工業的に合成して作られた重曹です。
以下では、天然重曹と合成重曹についてより詳しく解説します。
天然重曹とは
天然重曹とは、採掘された天然の鉱物を精製して得られる重曹です。
重曹を含む鉱石としては、内モンゴル奥地のシリンゴル高原に産出するトロナ鉱石が有名です。
トロナ鉱石は化学組成がNa2CO3・NaHCO3・2H2Oとなっており、重曹(NaHCO3)とかんすい(Na2CO3、炭酸ナトリウム)を多く含んでいます。そのため、石灰石(CaCO3)を焼いて発生させた二酸化炭素と反応させると、かんすいも重曹に変わり、純度99%の重曹ができるのです。
Na2CO3+CO2+H2O→2NaHCO3
ほかにも、アメリカのコロラド州に産出するナーコライト鉱石を原料とした重曹もあります。ナーコライト鉱石は別名「ナーコ石」とも呼ばれており、このナーコはNaHCO3のnahco(なーこ)に由来するとされています。
これらの天然重曹はキメが細かく、さらさらとした質感をしているのが特徴です。
そして水にも溶けやすく、味も合成重曹に比べると美味しいという声が多くあげられており、食用として使用するには適していると言えるでしょう。
トロナ鉱石とナーコライト鉱石の違い
トロナ鉱石とナーコライト鉱石の違いは、その化学組成にあります。
上記で説明した通り、トロナ鉱石は化学組成がNa2CO3・NaHCO3・2H2Oとなっており、別の表し方ではNa3(CO3)(HCO3)・2H2Oと表されます。トロナ鉱石の成分にはかんすいが含まれていることから、重曹製造時には石灰石から発生させた二酸化炭素と反応させ、かんすいを重曹に変化させることが一般的です。
一方、ナーコライト鉱石は化学組成がNaHCO3となっており、成分にかんすいを含んでいないのが特徴となっています。そのため、ナーコライト鉱石から重曹を製造する際には石灰石は使用されず、溶解や冷却、乾燥などを経て作られることが一般的です。
実際、NICHIGAで販売されているナーコライト重曹では、製造時にソリューションマイニング製法が用いられており、地下のナーコライト鉱床に熱い水を送り溶解させ、それを地表に戻して冷却、結晶化させた後、乾燥やクリーニングなどを経て製品化されています。
ナーコライト重曹は石灰石から発生させた二酸化炭素との化学反応プロセスがないことから、より天然の重曹と言えるでしょう。
ちなみに、ナーコライト重曹を製造するNatural Soda Inc社(アメリカ)のホームページには実際の製造工程の動画や詳細なプロセスフローが記載されていますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
【参考】
1. 塩水起源の鉱物と金属資源
2. NICHIGA 公式サイト ナーコライト重曹
合成重曹とは
合成重曹とは、工業的に化学合成によって作られる重曹です。
原料としては石灰石(炭酸カルシウム)、アンモニア、塩(塩化ナトリウム)、水が用いられ、これらを反応させることで合成されます。より具体的には、食塩水にアンモニアを溶かしてアンモニア塩基性条件下にし、そこに二酸化炭素を反応させて炭酸水素ナトリウムを合成するといった具合です。ちなみに、この反応はソルベー法と呼ばれる炭酸ナトリウムの工業的製法の1工程であり、高校化学の教科書にも記載されている反応となっています。
NaCl+H2O+NH3+CO2→NH4Cl+NaHCO3
この反応では副産物として塩化アンモニウム(NH4Cl)が生成し、不純物として残るため、合成重曹はわずかにアンモニア臭がしてしまうこともあります。
また、塩化ナトリウム溶液を電気分解して得られた水酸化ナトリウム溶液に対し、二酸化炭素を反応させて合成する方法もあります。現状、合成重曹ではこちらの方法での製造がメインのようです。
NaOH+CO2→NaHCO3
このようにして合成されて得られた重曹は天然重曹に比べて水に溶けにくく、味もあまり良い評価ではないのが特徴となっています。
一方、天然重曹に比べて値段は安い傾向にあるので、掃除用に使用するには適していると言えるでしょう。
おすすめの重曹
ここまで天然重曹と合成重曹の違いについて説明してきましたが、使い勝手で言えば天然重曹の方がおすすめです。
天然重曹であれば食用はもちろん、掃除用としても使用でき、様々な用途で使用できます。
そのため、以下ではおすすめの天然重曹を2点紹介していきたいと思います。
①NICHIGA ナーコライト重曹
NICHIGA ナーコライト重曹はアメリカのコロラド州に産出するナーコライト鉱石を原料とした天然重曹です。
アルミニウムフリーの製品であり、人体への毒性が懸念されるアルミニウムが含まれていないことから、食用でも安心して使用できる重曹となっています。
また、内容量が1kgと多く、様々な用途に使用しても長く使用できるため、買い替えも少なく済みやすいです。
こちらの天然重曹はAmazonや楽天市場などでも人気の重曹となっているため、各サイトのレビューなども参考にしてみてください。
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②NICHIGA トロナ鉱石重曹
NICHIGA トロナ鉱石重曹は、内モンゴル奥地のシリンゴル高原に産出するトロナ鉱石を原料とした天然重曹です。
こちらも内容量が1kgとなっており、値段についてもリーズナブルなことから、ナーコライト重曹同様に人気の重曹となっています。
ちなみに、NICHIGA トロナ鉱石重曹はNICHIGA ナーコライト重曹よりも若干値段が安くなっています。
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まとめ
重曹は炭酸水素ナトリウムのことで、様々な用途に使用される便利な物質です。
重曹には天然重曹と合成重曹があり、それぞれの違いは以下の通りとなっています。
- 天然重曹:採掘された天然の鉱物を精製して得られる重曹。ナーコライト重曹やトロナ重曹などがあげられる。
- 合成重曹:工業的に化学合成によって作られる重曹。塩を主な原料として作られる。
天然重曹と合成重曹にはそれぞれ一長一短がありますが、全体的に見れば天然重曹の方が使い勝手が良く、様々な用途に使用できます。
おすすめの天然重曹としては、NICHIGAのナーコライト重曹とトロナ鉱石重曹があげられますので、重曹の購入を検討している方はぜひ検討してみてください。
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