人工甘味料として有名な「アスパルテーム」。
糖として吸収されないことから、砂糖の代わりとして使用されるケースも少なくありません。
しかし、このアスパルテームにはいくつか危険性があると言われています。
本記事では、アスパルテームの概要と危険性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。
アスパルテームとは
アスパルテームとは、食品添加物の指定添加物として認可されている人工甘味料の1つです。
化学的にはアスパラギン酸とフェニルアラニンという2つのアミノ酸とメタノールを結合させたもので、砂糖の約200倍の甘さを持つという特徴があります。
アスパルテームは糖ではないことから、摂取しても糖として吸収されず、血糖値を上げることはありません。そのため、砂糖の代わりに使用されるほか、「カロリーゼロ」や「ノンカロリー」などをうたった商品に使用されることが多いです。
また、糖でないためにミュータント菌の栄養源にならないことから、虫歯の原因にならないとも言われています。
アスパルテームの1日摂取許容量(ADI)については、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)や食品科学委員会(SCF)、厚生労働省などは「40mg/kg体重/日」と定めています。
ただ、アスパルテームは食品衛生法によって使用基準が定められていません。人工甘味料として知られるアセスルファムKやスクラロースなどは使用基準が定められていますが、アスパルテームにはこの使用基準がないため、使用できる食品やその使用量について規制がなされていないのが現状となっています。
アスパルテームの危険性
砂糖の代用品として有益そうなアスパルテームですが、一方で複数の危険性も報告されています。
フェニルケトン尿症の胎児への危険性
アスパルテームは構造中にフェニルアラニンを含んでいるため、摂取すると小腸で分解されてフェニルアラニンが生じます。
フェニルアラニンの代謝がうまくいかない「フェニルケトン尿症」の胎児の場合には、アスパルテームを摂取するとフェニルアラニンが蓄積してしまい、脳に障害が起こる可能性も否定できません。
そのため、原材料名では「アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物」と表示し、フェニルケトン尿症の胎児に摂取させないよう、注意喚起を促すことがあります。
発がん性の危険性
アスパルテームには発がん性の報告もなされています。
例えば、アメリカでは1990年代後半に複数の研究者によって、アスパルテームに脳腫瘍を引き起こすリスクがあることが指摘されています。
また、2006年のイタリアのセサーレ・マルトーニ ガン研究所の報告によると、8週齢のラットに濃度の異なるアスパルテームを与え続けたところ、悪性の腫瘍やリンパ腫、白血病の増加が確認されています。この報告では「20mg/kg体重/日」という少量でも作用が見られたとされており、ADI「40mg/kg体重/日」より少ない量であることは懸念すべき点と言えるでしょう。
そして、2022年のフランス国立保健医学研究所(INSERM)の報告では、人工甘味料の摂取が多い人は摂取していない人に比べてがんの診断リスクが13%高く、アスパルテームでは15%高いことが確認されています。がん種別に見ると、乳がんのリスクはアスパルテームの摂取が多い人で22%、大腸がんなどの肥満関連のがんリスクはアスパルテームの摂取が多い人で15%上昇していたとのことです。
ちなみに、2023年7月14日には、国際がん研究機関(IARC)とJECFAがアスパルテームの健康影響について公表し、IARCはアスパルテームの発がん性を「グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)」に分類しています。
甘味に鈍感になりやすい
アスパルテームは一般的な砂糖の約200倍の甘味を持っているため、アスパルテームの甘味に慣れてしまうと甘味に対する感覚が鈍くなってしまいます。そのため、より甘いものを欲するようになり、砂糖などの摂取量が増えてしまう可能性も出てくるでしょう。
また、人工甘味料は摂取しても血糖値が上昇しないことから、エネルギーの恒常性が崩れる可能性があり、その結果脳の反応を介して摂食行動などが促され、むしろ太りやすくなるという指摘もあります。
糖尿病リスクが上がる
アスパルテームは摂取しても血糖値の上昇が起こりませんが、糖尿病リスクが上がるとの報告もあります。
2023年のフランスの栄養疫学研究チーム(EREN)の報告によると、人工甘味料を多く摂取した人は摂取しなかった人に比べて2型糖尿病発症リスクが高く、アスパルテームに関しては1.63倍リスクが高かったことが確認されています。
引用:Artificial Sweeteners and Risk of Type 2 Diabetes in the Prospective NutriNet-Santé Cohort(Figure 1)
また、2017年の金沢大学の報告によると、ダイエット清涼飲料水を週に1カップ(237ミリリットル)以上飲む人は、飲まない人に比べて糖尿病の発症リスクが1.7倍高かったことが確認されています。
引用:人工甘味料と糖代謝 図1
このように、糖尿病リスクを下げると思われている人工甘味料ですが、最近ではむしろ糖尿病リスクを上げるという報告も出てきているのです。
まとめ
人工甘味料として使用されている「アスパルテーム」。
摂取しても糖として吸収されないことから、カロリーゼロやノンカロリーをうたう多くの清涼飲料水や菓子類などに使用されているのが現状です。
しかし、アスパルテームには発がん性を含む様々な危険性が報告されており、できる限り避けた方が良い添加物と言えるでしょう。
アスパルテームは原材料名で「アスパルテーム」、「アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物」などと表記されているので、心配な場合には原材料名をしっかりと確認しておくことが大切です。
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