人工甘味料として使われている「スクラロース」。
強い甘味を持つことから、砂糖の代わりとして様々な食品に使用されています。
しかし、スクラロースにはいくつか危険性があると言われており、中には加熱で塩素が発生するとの報告もあります。
本記事では、スクラロースの概要と危険性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。
スクラロースとは
スクラロースとは、食品添加物(指定添加物)として認可されている人工甘味料の1つです。
1976年にイギリスで開発され、日本では1999年に食品添加物として認可されています。
ショ糖(スクロース)の3つの水酸基を塩素に置換することで生成される有機塩素化合物の1種であり、ショ糖に似た化学構造をしています。
スクラロースはショ糖の約600倍という強い甘味を持ち、後引きのある砂糖に似た甘味を呈するのが特徴です。他の糖類や甘味料との併用で甘味が増すほか、酢や塩分などの刺激を和らげる効果もあるとされています。また、同じ人工甘味料である「アセスルファムK」の苦味を隠す目的で併用されることも少なくありません。
スクラロースは糖として吸収されず、血糖値を上昇させないことから、「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」などをうたった商品に使用されています。
スクラロースの使用基準
スクラロースは食品衛生法によって使用基準が定められており、使用できる食品や使用量の限度が決められています。
スクラロースを使用できる食品とその使用量の限度はそれぞれ以下の通りです。
使用できる食品 | 使用量の限度 |
---|---|
砂糖代替食品(コーヒー、紅茶等に直接加え、砂糖に代替する食品として用いられるもの) | 12g/kg |
チューインガム | 2.6g/kg |
菓子(チューインガムを除く) 生菓子 | 1.8g/kg |
ジャム | 1.0g/kg |
清酒、合成清酒 果実酒、雑酒 清涼飲料水 乳飲料 乳酸菌飲料 (希釈して飲用に供する飲料水は、希釈後の飲料水) | 0.40g/kg |
その他の食品 | 0.58g/kg |
スクラロースを使用できる食品は多岐にわたり、現在でも菓子類や清涼飲料水などを中心に様々な食品に含まれています。
スクラロースの危険性
スクラロースは食品添加物として認可されていますが、実はいくつか危険性があると言われています。
具体的な危険性については以下の通りです。
高温で塩素ガスが発生する可能性
スクラロースには1分子あたり塩素が3つ(重量比では100g中に26.7g)含まれており、138℃を超えて加熱すると有毒な塩素ガス(HCl)が発生すると言われています。
実際、2019年にはドイツのリスク評価研究所(BfR)が、スクラロースが加熱された場合のリスクに関する意見書(2019年4月9日付け、No.012/2019)を公表しています。
【参考】
食品安全委員会「ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、甘味料スクラロースが加熱された場合のリスクに関する意見書を公表」
138℃は食品を加熱する際に達し得る温度なので、スクラロースを含む食品の取り扱いについては注意が必要と言えるでしょう。
甘味に鈍感になりやすい
スクラロースは一般的な砂糖よりも約600倍甘く、この強い甘味に慣れてしまうと甘味に対して鈍感になることも考えられます。甘味に鈍感になってしまうとより甘いものを欲するようになり、砂糖などの摂取量が増えてしまうことも起こり得るでしょう。
また、人工甘味料は摂取しても血糖値が上昇しないことから、エネルギーの恒常性が崩れる可能性があり、脳の反応を介して摂食行動などが促され、むしろ太りやすくなるという指摘もあります。
糖尿病リスクが上がる
スクラロースは血糖値を上昇させませんが、糖尿病リスクが上がるという報告もあります。
2023年のフランスの栄養疫学研究チーム(EREN)の報告によると、人工甘味料を多く摂取した人は摂取しなかった人に比べて2型糖尿病の発症リスクが高く、スクラロースに関しては高摂取者で1.34倍リスクが高かったことが確認されています。
引用:Artificial Sweeteners and Risk of Type 2 Diabetes in the Prospective NutriNet-Santé Cohort(Figure 1)
また、2017年の金沢大学の報告によると、ダイエット清涼飲料水を週に1カップ(237ミリリットル)以上飲む人は、飲まない人に比べて糖尿病の発症リスクが1.7倍高かったことが確認されています。
引用:人工甘味料と糖代謝 図1
このように、糖尿病リスクを下げると考えられている人工甘味料ですが、最近ではむしろ糖尿病リスクを上げるという報告も出てきているのです。
まとめ
人工甘味料の1つである「スクラロース」。
強い甘味を呈するにもかかわらず、血糖値を上昇させないことから、砂糖の代わりとして様々な食品に使用されているのが現状です。
しかし、スクラロースにはいくつか危険性も報告されており、リスクの面からスクラロースを含む食品についてはできるだけ避けた方が良いとも言えるでしょう。
スクラロースの含有が心配な場合には原材料名を確認し、スクラロースの記載があるかをチェックしておくと安心です。
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