ベンズアルデヒドをご存知でしょうか?
ベンズアルデヒドは高校の化学の教科書にも出てくるような物質で、芳香族アルデヒドの1種です。
このベンズアルデヒドについて、実は抗癌作用があるとの報告が数多くなされています。
本記事ではベンズアルデヒドの概要や抗癌作用について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。
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ベンズアルデヒドとは
ベンズアルデヒドとは、化学式「C6H5CHO」で表される芳香族アルデヒドの1種で、以下のような構造を持つ物質です。
分子量106.12、融点−56.5℃、沸点179℃の無色の液体であり、揮発しやすく、苦扁桃油様の香気を持つのが特徴となっています。アーモンドや杏仁(アンズの種)の香り成分としても有名です。
ベンズアルデヒドは酸化されやすい特性を持っており、酸化された場合には安息香酸となり、表面に膜状物質として浮かぶことが知られています。
ベンズアルデヒドは東風睦之博士によって単離された物質で、東風博士は旧約聖書に記載されているイチジクの癌に対する効果に着目し、イチジクの揮発性画分から抗腫瘍成分としてベンズアルデヒドを単離したと言われています。
ちなみに、ベンズアルデヒドは脂溶性であることから、より臨床応用しやすい水溶性誘導体として、β-シクロデキストリンベンズアルデヒド包接化合物(CDBA)や5,6-ベンジリデン-L-アスコルビン酸ナトリウム(SBA)、4,6-ベンジリデン-a-D-グルコース(BG)などが開発されています。
【参考文献】
イチジクの揮発性画分より単離されたベンズアルデヒド ‒ その抗腫瘍活性と誘導体の開発 ‒
ベンズアルデヒドの抗癌作用
ベンズアルデヒド、及びその水溶性誘導体は、様々な癌に対して抗癌作用を示すことが報告されています。
ここでは、実際に人に使用した際の臨床報告を2つ紹介していきたいと思います。
CDBAの経口・坐薬の報告
1つ目はCDBAを経口・坐薬として使用した際の報告です。
この研究は東風博士により行われたもので、『Cancer Treatment Reports 64巻(1980年)』のpp.21~23「Antitumor activity of benzaldehyde」に記載されています。
この報告では、10mg/kgのCDBAを1日4回に分けて経口、または直腸投与したところ、4歳から83歳の男女57人において、19人の患者は完全に奏効し、10人の患者は部分的に奏効したことが報告されています。
うち、舌扁平上皮癌患者4人についてはCDBAの1.5〜6ヵ月の投与で完全寛解し、急性骨髄球性白血病の4歳男児に関してはCDBAによる治療開始から10日後に完全寛解が得られ、血小板数、白血球数、ヘモグロビン値が正常に戻ったとのことです。
また、同調査により、CDBAは平滑筋肉腫に対しては30mg/日、扁平上皮癌や腺癌に対しては300mg/日以上の量で有効性を示すことが確認されています。
BGの静脈内投与の報告
2つ目はBGを静脈内投与した際の報告です。
この研究も東風博士により行われており、『Cancer Treatment Reports 69巻(1985年)』のpp.533~537「Antitumor activity of a benzaldehyde derivative」に記載されています。
この報告では、BGを進行期の手術不能癌患者65人に対して1日あたり720〜1800mg/m²の用量で静脈内投与したところ、7例が完全奏効、29例が部分奏効、24例が安定、5例が進行となり、全体の客観的奏効率が55%となったことが報告されています。
なお、患者の生存期間の延長は明らかで、BGの長期投与中、毒性反応は観察されなかったとのことです。
ベンズアルデヒドの抗癌作用の作用機序
ベンズアルデヒドには抗癌作用においていくつかの作用機序が報告されており、代表的なものについては以下の通りとなっています。
チロシンキナーゼを阻害
チロシンキナーゼはタンパク質中のチロシンをリン酸化する酵素です。
チロシンキナーゼには細胞膜に存在する「受容体型チロシンキナーゼ」というものがあり、細胞の増殖や分化、生存、代謝、移動などに関わることで知られています。
しかし、悪性腫瘍細胞においてこの酵素の発現が上昇したり、活性型変異、局在偏移などが起きたりすると恒常的に活性化された状態となり、血管新生、浸潤能、転移能の増強をもたらすことが報告されています。そのため、近年ではこのような受容体型チロシンキナーゼが癌治療薬の標的とされることも少なくありません。
そのような中、ベンズアルデヒドはこのチロシンキナーゼを阻害することが知られており、チロシンキナーゼの阻害を介して癌細胞の増殖や浸潤、転移などを抑制する可能性が示唆されています。
※チロシンキナーゼと癌との関係については以下の論文も参考にしてください。
→https://nsmc.hosp.go.jp/Journal/2019-9/SMCJ2019-9_review03.pdf
14-3-3ζとクライアントタンパク質の結合を阻害
14-3-3ζは、14-3-3タンパク質の7つあるアイソフォーム(β,γ,ε,ζ,η,τ,σ)のうちの1つで、リン酸化されたタンパク質に結合するリン酸化結合タンパク質の1つです。
14-3-3ζは癌細胞シグナル活性化因子と言われており、癌の活性化経路に存在する複数のクライアントタンパク質のリン酸化部分に結合し、その活性を調節していると言われています。近年、多くの癌において14-3-3ζが高発現していることが報告されており、腫瘍形成能や転移、化学療法抵抗性、放射線治療抵抗性などに関与している可能性が示唆されています。
このような中、ベンズアルデヒドは14-3-3ζがクライアントタンパク質のリン酸化部分に結合するのを阻害し、クライアントタンパク質のリン酸化状態を低下させ、複数の癌活性化経路を抑制することが報告されています。
実際、膵臓がん細胞BxPC3、及び非小細胞肺がん細胞A549において、ベンズアルデヒドががん細胞で活性化される主要なシグナル伝達経路であるPI3K/AKT/mTOR、STAT3、NFκB、 ERK経路を阻害することが確認されています。
【参考文献】
癌細胞シグナル活性化因子14-3-3ζを標的とした新規膵臓癌治療薬の開発
ベンズアルデヒドやその誘導体はどうやって摂る?
ベンズアルデヒドやその誘導体にはいくつか摂取方法がありますので、いくつかご紹介します。
食べ物から摂る
ベンズアルデヒドはアーモンド、杏、梅、桃、プルーン、リンゴ、イチジクなど、バラ科の植物の種子に多く含まれている成分なので、これらの種子やその周辺の果肉を食べることで摂取できます。
ただし、摂取しすぎると青酸による副作用のリスクも考えられるので、食べ過ぎには注意するようにしましょう。
ちなみに、梅や杏、枇杷などの種子にはアミグダリンと呼ばれる青酸配糖体も含まれており、ベンズアルデヒドはこのアミグダリンの代謝によっても生成されることから、アミグダリンを摂取することで摂取できます。
サプリメントから摂取
ベンズアルデヒドそのものを配合したサプリメントはないのですが、ベンズアルデヒドをビタミンB1に結合させた「ベンフォチアミン」というサプリメントならiHerbやAmazonなどで販売されています。
ベンフォチアミンはビタミンB1誘導体製剤として販売されていますが、『がんの特効薬は発見済みだ!』の著者「岡崎公彦博士」によると、ベンズアルデヒドとしての効果も期待できるそうです。
ベンズアルデヒドにはビオトーワという薬もありますが、上記のようなベンフォチアミンという形でサプリメントとしても販売されているので、サプリメントからの方が手軽に摂取が可能です。
ちなみに、Amazonのベンフォチアミンサプリメントのレビューでは、癌への効果に関するレビューもありますので、ぜひ参考にしてください(2020年8月24日にレビューされたHOさんのレビューなどです)。
なお、ビタミンB1はピルビン酸デヒドロゲナーゼ(ピルビン酸脱水素酵素)の補酵素であり、ピルビン酸デヒドロゲナーゼの活性化に必要なものなので、ベンフォチアミンは糖代謝の改善にも有効と言われています。
処方してもらう
ベンズアルデヒド誘導体のCDBAに関しては、千葉県松戸市の一条会クリニックにて処方してもらえるとの情報があります。
一条会クリニックの高橋院長は東風博士からベンズアルデヒドを引き継ぎ、ベンズアルデヒドをCDBAの形で処方しているとのことです。
ちなみに、千葉県市川市の一条会病院の開設者は東風睦之博士です。
なお、2021年の段階ではBGの静脈内投与は行われていないとのことです(現在は分かりません)。
ベンズアルデヒドの参考書籍・サイト
ベンズアルデヒドの参考書籍を以下に記載します。
・がん患者が真に求める抗がん剤の復権に向けて(東風斡子)
・がんの特効薬は発見済みだ!(岡崎公彦)
・進行がん患者を救う 「奇跡の治療薬」への挑戦(髙橋 亨)←絶版となっている可能性があります
サイトについては以下の東風斡子さんのサイトが参考になります。
ぜひ参考にしてください。
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