人工甘味料として知られている「アセスルファムカリウム」。
アスパルテームと並んで砂糖の代用品として使用されており、菓子類や清涼飲料水など様々な食品に使用されています。
しかし、アセスルファムカリウムにはいくつか危険性があると言われています。
本記事では、アセスルファムカリウムの概要と危険性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。
アセスルファムカリウムとは
アセスルファムカリウムとは、食品添加物の指定添加物として認可されている人工甘味料の1つです。
日本では2000年4月に食品添加物として認可され、2008年には医薬品添加物としても認可されています。
一般的な砂糖の約200倍の甘さを持つのが特徴で、後を引かないすっきりとした甘さを呈します。一方で、高濃度では僅かに苦味を感じることもあるため、他の甘味料と併用して使われることも少なくありません。
アセスルファムカリウムは糖として吸収されず、血糖値を上げないことから、アスパルテームと同様に砂糖の代用品として使用されています。「カロリーゼロ」や「糖類ゼロ」をうたった商品には、アセスルファムカリウムが使用されているものも少なくありません。
また、アセスルファムカリウムは熱や酸、酵素などに強いため、加熱して作られるパンやクッキーのほか、長期保存向けの清涼飲料水などにも多く使用されています。
ちなみに、アセスルファムカリウムは口腔内でミュータンス菌の代謝対象にならないことから、虫歯の原因物質にはならないとされています。
アセスルファムカリウムの使用基準
アセスルファムカリウムは食品衛生法によって使用基準が定められており、使用できる食品や使用量の限度などが決められています。
アセスルファムカリウムを使用できる食品とその使用量の限度はそれぞれ以下の通りです。
使用できる食品 | 使用量の限度 |
---|---|
砂糖代替食品 | 15g/kg |
チューインガム | 5.0g/kg |
あん類 菓子(チューインガムを除く) 生菓子 | 2.5g/kg |
アイスクリーム類 ジャム類 たれ 漬物 氷菓 フラワーペースト | 1.0g/kg |
栄養機能食品(錠剤に限る) | 6.0g/kg |
果実酒、雑酒 清涼飲料水 乳飲料 乳酸菌飲料 はっ酵乳 (希釈して飲用に供する飲料水は、希釈後の飲料水) | 0.50g/kg |
その他の食品 | 0.35g/kg |
食品によって使用量の限度は異なるものの、アセスルファムカリウムを使用できる食品は菓子類や清涼飲料水、乳酸菌飲料など多岐にわたり、多くの食品に使用されているのが現状となっています。
アセスルファムカリウムの危険性
このようなアセスルファムカリウムですが、実はいくつか危険性があると言われています。
製造過程で発がん性物質が混入する可能性
アセスルファムカリウムは製造過程で塩化メチレン(ジクロロメタン)を溶媒として使用しており、この塩化メチレンが不純物として含まれている可能性を指摘する声もあります。
塩化メチレンは発がん性物質として知られており、国際がん研究機関(IARC)でも「グループ2A(おそらくヒトに対して発がん性がある)」に分類されている危険性の高い物質です。
現在日本で使われているアセスルファムカリウムはすべて輸入品ですが、最近では中国からの輸入が多く、製造工程についてはほとんど分かっていないのが実情となっています。塩化メチレンを含む不純物の混入・残留についてはしっかりとしたチェックがなされていないことから、不安は拭いきれないと言えるでしょう。
発がん性の可能性
アセスルファムカリウムには発がん性のリスクを上昇させる報告もあります。
2022年のフランス国立保健医学研究所(INSERM)の報告によると、アセスルファムカリウムの摂取が多い人は摂取していない人に比べてがんの診断リスクが13%高いことが確認されています。がん種別に見ると、乳がんのリスクはアセスルファムカリウムの摂取が多い人で17%、大腸がんなどの肥満関連のがんリスクはアセスルファムカリウムの摂取が多い人で13%上昇していたとのことです。
甘味に鈍感になりやすい
アセスルファムカリウムは一般的な砂糖の約200倍の甘味を持っているため、この強い甘味に慣れてしまうと甘味に対する感覚が鈍くなることも考えられます。場合によってはより甘いものを欲するようになり、砂糖などの甘いものの摂取量が増えてしまう可能性も出てくるでしょう。
また、人工甘味料は摂取しても血糖値が上昇しないことから、エネルギーの恒常性が崩れる可能性があり、脳の反応を介して摂食行動などが促され、むしろ太りやすくなるという指摘もあります。
糖尿病リスクが上がる
アセスルファムカリウムは摂取しても血糖値が上昇しませんが、糖尿病リスクが上がるという報告もあります。
2023年のフランスの栄養疫学研究チーム(EREN)の報告によると、人工甘味料を多く摂取した人は摂取しなかった人に比べて2型糖尿病の発症リスクが高く、アスパルテームに関しては高摂取者で1.70倍リスクが高かったことが確認されています。
引用:Artificial Sweeteners and Risk of Type 2 Diabetes in the Prospective NutriNet-Santé Cohort(Figure 1)
また、2017年の金沢大学の報告によると、ダイエット清涼飲料水を週に1カップ(237ミリリットル)以上飲む人は、飲まない人に比べて糖尿病の発症リスクが1.7倍高かったことが確認されています。
引用:人工甘味料と糖代謝 図1
このように、糖尿病リスクを下げると考えられている人工甘味料ですが、最近ではむしろ糖尿病リスクを上げるという報告も出てきているのです。
まとめ
人工甘味料の1つである「アセスルファムカリウム」。
血糖値が上がらないことから砂糖の代わりに使われることが多く、菓子類や清涼飲料水を中心とした様々な食品に使用されているのが現状です。
しかし、アセスルファムカリウムには発がん性などの危険性が指摘されており、安易に摂取するのは控えた方が良いと言えるでしょう。
アセスルファムカリウムは原材料名で「アセスルファムカリウム」、「アセスルファムK」と表示されることが多いので、心配な場合には原材料名を確認し、アセスルファムカリウムの有無をチェックしておくと安心です。
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