重曹クエン酸水といえば体内を弱アルカリ性に傾ける効果が有名ですが、含まれるクエン酸ナトリウムがカルシウムやマグネシウムなどのミネラルをキレート化し、腸管での吸収率を高める作用があることも確認されています。
そして、後者の作用に関して、カルシウムをキレートするということは血栓の予防にも効果的な可能性が考えられたので、今回はその考察をしていきたいと思います。
ちなみに、クエン酸には実際に血栓を予防する効果があるとも言われているので、クエン酸ナトリウムを含む重曹クエン酸水に血栓予防効果があっても何ら不思議なことではないと思われますが、興味がある方はぜひ最後までご一読ください。
重曹クエン酸水について簡単に解説
まず、簡単に重曹クエン酸水についての解説をします。
重曹クエン酸水とは、重曹とクエン酸を水に溶かして混ぜたものです。
重曹(NaHCO3)は水に溶かすとアルカリ性を、クエン酸(C6H8O7)は酸性を示すので、混ぜると以下のような中和反応が起こり、クエン酸ナトリウム(クエン酸イオンとナトリウムイオン)と炭酸水が生じます。
重曹クエン酸水を成分的に見ると、クエン酸ナトリウムが溶けた炭酸水ということになるわけです。
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血液凝固の仕組み
血栓予防効果について考えるためには、血液凝固の仕組みを知っておく必要があるので、ここで血液凝固の仕組みについても簡単に説明します。
血液凝固には大きく分けて一次止血と二次止血があり、一次止血では血小板が凝集し、次いで起こる二次止血では血液凝固カスケードによって生じるフィブリンによって血小板が固められ、血栓が形成されます。
二次止血に関しては、血液凝固の第Ⅰ因子(フィブリノーゲン)や第Ⅱ因子(プロトロンビン)、第Ⅳ因子(カルシウムイオン)など、計12種類の血液凝固Ⅰ~ⅩⅢ因子が関与しており、複雑な機構となっているのが特徴です。詳しい解説は割愛しますが、図にすると以下のようになります(論文より引用させていただきました)。
最終的にはプロトロンビンがトロンビンへと活性化され、トロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンへと活性化させ、このフィブリンの網の膜が血小板全体を覆い固めることで血栓が形成されるという仕組みです。
ちなみに、APTTは活性化部分トロンボプラスチン時間、PTはプロトロンビン時間のことで、それぞれ血液凝固(二次止血)の指標となっています。
重曹クエン酸水の血栓予防効果についての考察
ではここから実際に重曹クエン酸水の血栓予防効果について考えていきたいと思います。
まず、重曹クエン酸水(クエン酸ナトリウムが溶けた炭酸水)を飲むことは、クエン酸ナトリウムを摂取することになるので、飲んだ後は血中のクエン酸ナトリウムの濃度が上昇します。冒頭でも説明した通り、クエン酸ナトリウムにはキレート作用があるので、このクエン酸ナトリウムは血中のカルシウムイオンをキレートすることになるでしょう。
しかし、血液凝固(二次止血)ではカルシウムイオンが第Ⅳ因子となっていることから、血液が凝固するためにはカルシウムイオンが必要です。上記の図を見ての通り、カルシウムイオンは二次止血の4つのステップで必要な因子であることが分かるかと思われます。
そのため、重曹クエン酸水を飲んで血中のクエン酸ナトリウムが増えると、カルシウムイオンがキレート化されて血液凝固に使用されにくくなるので、血液凝固が進みにくくなる可能性があると言えるでしょう。
つまり、重曹クエン酸水には血栓予防効果がある可能性も考えられるのではないでしょうか。
実際、クエン酸ナトリウムは血液凝固を防ぐ抗凝固剤として、血液凝固試験や輸血などで幅広く使用されており、クエン酸に関しても抗凝固作用があると言われています。
これらのことからも、重曹クエン酸水に血栓予防効果があっても、何ら不思議なことではないかと思われます。
※本記事に記載のことはあくまで考察であるため、その点ご理解いただければと思います。
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