皮膚の保護膜「皮脂」、どのような成分からできている?

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私たちの皮膚を覆っている「皮脂」、どのような成分でできていて、どのような役割を果たしているのかご存知でしょうか。

皮脂は私たちの皮膚にとって欠かせないものであり、その成分や役割を知ることは大切なことです。

この記事では、皮脂について構成成分や役割などを解説していきます。

そもそも皮脂とは?

皮脂は私たちの皮膚を覆っている薄い膜状の液体です。

皮脂腺でつくられた「皮表脂質」と表皮細胞に由来する「脂質」の2つが混ざったもののことを指します。

皮脂と皮表脂質は同じものとして扱われることが多いですが、それは脂腺の多い部位では皮脂に占める皮表脂質の割合がおよそ95%以上と高いことが理由と言われています。

厳密には皮脂と皮表脂質は違うのです。

皮脂の構成成分

皮脂の構成成分と構成比率は以下の通りとなっています。

構成成分比率(%)
ジグリセリド2.2
コレステロール1.4
脂肪酸16.4
トリグリセリド41.0
ワックスエステル25.0
コレステロールエステル2.1
スクワラン12.0

(参考:D T Downing, et al. Variability in the chemical composition of human skin surface lipids. The Journal of Investigative Dermatology, 1969, 53, 5, 322-327)

成分としては大きく7種類のものから構成されており、中でもトリグリセリドが構成比率41.0%と最も大きい割合を占めているのが特徴です。トリグリセリドはトリグリセリンとも呼ばれており、以下のようにグリセリンと3つの脂肪酸がつながった物質となっています。

トリグリセリドやワックスエステル、スクワランなど、全体として油になじみやすい油溶性の物質が成分となっているため、皮脂は油性の性質が強くなっています。

皮脂の役割

皮脂の役割は以下の通りです。

皮膚からの水分蒸発を防ぐ

皮脂は私たちの皮膚を薄く膜状に覆っており、皮膚から水分が蒸発するのを防いでいます。

基本的に水と油は互いに混ざりにくく、油性の皮脂が皮膚からの水分蒸発をしっかりと抑えてくれるのです。

皮脂が不足すると皮膚から水分が蒸発しやすくなるため肌が乾燥しやすくなり、肌荒れを起こしたり、皮脂が過剰に分泌されてニキビができやすくなったりなど、様々な肌トラブルが生じやすくなります。

外部からの異物の侵入を防ぐ

皮脂は外部から異物が侵入するのを防ぐ役割も果たしています。

菌などの異物が皮膚を通して侵入すると炎症などの肌トラブルを起こす可能性があるため、異物の侵入を防ぐことは大切です。皮脂はこのような異物から皮膚を保護しているのです。

殺菌する

皮脂には殺菌作用があると言われています。

皮脂の成分である脂肪酸にはオレイン酸やリノール酸、リノレン酸などが含まれており、これらの脂肪酸が一部の菌に対して殺菌作用があると言われているのです。

菌の種類やその量によっては皮膚疾患を起こす可能性もあるため、皮脂は私たちの皮膚を健康に保つうえで欠かせないものとなっています。

まとめ

皮脂は皮表脂質と脂質からできており、私たちの皮膚を薄い膜状に覆っている油性の液体です。

その成分としてはトリグリセリンやワックスエステル、脂肪酸などがあり、全体として油溶性の物質であることから皮脂も油性の性質を持っています。

皮脂は肌の乾燥を防ぐ、外部からの異物の侵入を防ぐ、殺菌するなどの役割を果たしており、私たちの皮膚にとって欠かせないものとなっているのです。

参考文献

  1. Itsuro Matsuo, et al. 皮表脂質の生理的役割. 油化学, 1988, 37, 10, 827-831
  2. D T Downing, et al. Variability in the chemical composition of human skin surface lipids. The Journal of Investigative Dermatology, 1969, 53, 5, 322-327
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