pHを調整するのに役立つ「pH調整剤」。
食品添加物として使われることも多く、様々な加工食品に使用されているのが現状です。
しかし、pH調整剤には危険性を指摘する声もあり、過剰摂取には注意が必要と言えます。
本記事では、pH調整剤の種類や食品添加物としての危険性を解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。
pH調整剤とは
pH調整剤とは、食品のpHを調整する目的で使用される食品添加物です。
pHは酸性・アルカリ性の度合いを表す指標のことで、値が小さいほど酸性の度合いが、値が大きいほどアルカリ性の度合いが強いことを意味します。また、pHは水素イオン濃度の逆数の対数を表すものでもあるので、pH調整剤は別名「水素イオン濃度調整剤」とも呼ばれることも少なくありません。
pH調整剤で食品のpHを調整する目的は、主に食品の静菌作用を維持することにあります。
食中毒の原因となる食中毒菌はpH7付近で増えやすい一方、pH6以下では増えにくく、pH3以下になるとほとんど増えることができなくなります。そのため、pH調整剤でpHを低く保つことで、食品の安全性や保存性を高めているのです。食品の保存性を高めるにあたっては、最近では保存料の代わりにpH調整剤が使われることも増えています。
また、食品はpHによって味や色、触感などが変わるため、pH調整剤は食品の変質や変色を防ぐ目的でも使われています。
pH調整剤の種類
pH調整剤には様々なものがあり、2024年2月時点では以下の35種類に加え、酸味料の「フィチン酸」も加えられています。
アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸水素カリウム、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、炭酸カリウム(無水)、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、氷酢酸、ピロリン酸二水素二ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム
【参考】食品表示基準 別添 添加物関係
上記のpH調整剤の中には酸味料として使われるものも多くあるので、pH調整剤は酸味を加える目的でも使用されます。
以前は酸味料の「イタコン酸」もpH調整剤に含まれていましたが、イタコン酸は2020年に既存添加物から削除されたので、現在は含まれていません。
ちなみに、pH調整剤は上記のうち何をどれだけ使用しても「pH調整剤」、もしくは「水素イオン濃度調整剤」との一括表示が可能なので、消費者側からは何が使われているのか分かりません。
pH調整剤の危険性
このようなpH調整剤ですが、リン酸水素二カリウムやリン酸水素二ナトリウムなど、リン酸塩を使用している場合にはリン酸の過剰摂取につながる懸念があります。
リン酸は様々な食品に含まれており、普段の食事で多くのリン酸を摂取しているため、pH調整剤によって摂取すると過剰摂取につながる可能性があるのです。リン酸の過剰摂取はカルシウムの吸収低下につながり、骨粗鬆症のリスクが高くなるほか、マグネシウムや鉄など他のミネラルの吸収も悪くなりやすくなります。
pH調整剤は一括表示が可能であることから、リン酸塩を使用している可能性も否定できないので、できる範囲で避けた方が良いと言えるでしょう。
そのほかにも、一部のpH調整剤は大量摂取によって下痢や腹痛などの症状を引き起こす可能性があることから、そのような意味でも過剰摂取は避けた方が安心です。なお、一部の指摘ではpH調整剤は腸内細菌に悪影響を及ぼすとも言われています。
まとめ
食品のpHを低く保つ「pH調整剤」。
パンやジャム、おにぎり、サンドイッチ、麵類など、スーパーやコンビニなどで販売されている多くの加工食品に使用されています。
しかし、pH調整剤は一括表示されることから、消費者側からは何を使用しているのか分からないという問題があります。
また、pH調整剤としてリン酸塩を使用している場合には、摂取によってリン酸の過剰摂取につながる可能性も否定できません。
健康を損なうことのないよう、pH調整剤はできる範囲で避けていけると良いかもしれません。
コメント