天然着色料「クチナシ色素」に危険性はある?食品添加物としての安全性を解説

食品添加物
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着色料として使われている「クチナシ色素」。

植物由来の天然着色料であることから、合成着色料の代用として多くの食品に使用されています。

確かに、合成着色料に比べれば安全な色素といえますが、実際のところ安全性はどうなのでしょうか?

本記事では、クチナシ色素の概要と安全性について解説していますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。

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クチナシ色素とは?

クチナシ色素とは、食品添加物の既存添加物として認可されている天然の着色料です。

アカネ科クチナシ(Gardenia jasminoides)の果実を原料に、抽出・分離・加水分解などの工程を経て得られます。

クチナシの果実

熱や光に対して比較的安定性が高く、pHによる色調の変化がほとんどないため、使用される食品は幅広いです。ただし、酸性条件下で沈殿を生じる恐れがあることから、酸性食品に使用されるケースは少なくなっています。

また、クチナシ色素は着色料として使用基準が設けられており、以下の食品への使用は認められていません。

こんぶ類、食肉、鮮魚介類(鯨肉を含む)、茶、のり類、豆類、野菜、わかめ類

そのため、上記の食品に含まれることは基本的にないと考えて良いでしょう。

クチナシ色素の種類

クチナシ色素には「クチナシ黄色素」「クチナシ青色素」「クチナシ赤色素」の3種類が存在し、クチナシ果実からの抽出・分離・加水分解などの工程の違いで得られる色素が異なります。

これらのクチナシ色素はそれぞれ特徴が異なりますが、原材料名ではどれをいくら使っても「クチナシ色素」、「着色料(クチナシ)」などと一括表示が可能です。

3種類のクチナシ色素の特徴について、以下で簡単に説明します。

クチナシ黄色素

クチナシ黄色素はカロテノイドのクロシン、及びクロセチンを主成分とする色素です。

クチナシの果実から水、もしくはエタノールで抽出して得られ、これらを加水分解したものも含まれます。

食品を黄色に着色する目的で使用され、中華麺や菓子類、栗きんとんなど様々な食品に使用されています。

原材料名の表示は「クチナシ色素」、「クチナシ黄色素」、「カロチノイド色素」、「カロテノイド色素」、「クロシン」など多岐にわたります。

クチナシ青色素

クチナシ色素の果実から抽出したイリドイド配糖体(ゲニポシド)、及びタンパク質分解物の混合物に、β-グルコシダーゼを添加して得られる色素です。

β-グルコシダーゼの作用で生成したゲニポシドの分解物(ゲニピン)と、タンパク質分解物のアミノ酸が反応して生成します。

食品を青色に着色する目的で使用されますが、他の色素と組み合わせて使用されることも多く、菓子類やシロップ、水産加工品など、幅広い食品に使用されています。

原材料名の表示は「クチナシ」、「クチナシ色素」、「クチナシ青色素」、「着色料(クチナシ)」など、様々です。

クチナシ赤色素

クチナシ色素の果実から抽出したイリドイド配糖体のエステル加水分解物(ゲニポシド酸)、及びタンパク質分解物の混合物に、β-グルコシダーゼを添加して得られる色素です。

β-グルコシダーゼの作用で生成したゲニポシド酸の分解物(ゲニピン酸)と、タンパク質分解物のアミノ酸が反応して生成します。

食品を赤色に着色する目的で使用され、主に菓子類やシロップ、かまぼこなどの水産加工品に使用されています。

原材料名の表示は「クチナシ」、「クチナシ色素」、「クチナシ赤色素」、「着色料(クチナシ)」などが多いです。

クチナシ色素の海外での承認状況

クチナシ色素は日本では3色とも食品添加物の既存添加物として承認されています。

しかし、海外ではクチナシ色素、特にクチナシ赤色素についてはあまり知られていないこともあり、承認していない国も少なからずあるのが現状です。

米国、欧州、中国、韓国、豪州について、それぞれの承認状況は以下の通りとなっています。

日本米国欧州中国韓国豪州
クチナシ黄色素×××
クチナシ青色素×××
クチナシ赤色素××××

参考:JFIA「海外食品添加物規制早見表」

米国と欧州、豪州ではクチナシ色素は3色とも承認されておらず、クチナシ赤色素に関しては上記の表では日本と韓国だけが承認している状況となっています。

クチナシ色素の安全性

冒頭でも説明した通り、クチナシ色素は植物由来の天然着色料なので、合成着色料に比べて安全性は高いと言えるでしょう。

実際、クチナシの果実は「山梔子(さんしし)」として漢方薬にも使われているので、安全性についてはほとんど問題はないと考えられます。

しかし、そのようなクチナシ色素にもいくつか危険性の報告があるので、ここではそれらの報告を紹介します。

肝臓への影響

ラットにクチナシ黄色素を体重1kgあたり0.8~5g経口投与したところ、下痢や肝臓からの出血などの症状が見られたとの報告があります。

これについてはクチナシ黄色素に含まれるゲニポシドという成分が原因であると言われており、大量摂取には注意が必要と言える事例かもしれません。

漢方薬としての副作用

クチナシ果実を使用した漢方薬「山梔子(さんしし)」には、副作用として「発性腸間膜性硬化症」を引き起こす危険性があるとされており、添付文書にもその旨の記載がされています。

【参考】「ウチダのサンシシM」、「小島山梔子M

これは山梔子を長期間服用した際に起こり得ることで、成分中のゲニポシドが原因と言われています。

ただし、これは漢方薬として長期間摂取した場合の話なので、添加物として摂取した場合にはあまり心配はないと考えられています。

まとめ

着色料として様々な食品に使用されている「クチナシ色素」。

植物由来の天然着色料であり、古くから使われているものであることから、合成着色料に比べれば安全性は高いと言えるでしょう。

しかし、大量摂取や他の添加物との複合摂取など、摂取する条件によってはリスクはないとも言い切れないので、その点については注意が必要です。

食品への着色は必ずしも必要なものではないので、できれば不使用のものを選びたいものです。

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